皆さん、こんにちは。
岩手県盛岡市にある ざいもくちょう歯科の院長、中谷 寛之です。
「インプラントを入れてから口臭が気になるようになった…」「インプラントによる口臭を何とかしたい!」
そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は、インプラントによる口臭は、適切なケアと対策を行うことで予防・改善することができるんです。
この記事では、歯科医師の視点から、インプラントが原因で起こる口臭の原因と、その対策方法について詳しく解説します。
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インプラントで口臭が発生する原因
インプラントを導入された患者様の中には、口臭が気になるという方がいらっしゃいます。インプラントが原因で口臭が発生する主な原因は以下の3つです。
磨き残しが原因で口臭が発生
インプラントは天然の歯と比べて、歯ブラシが届きにくい部分があります。そのため、磨き残しが発生しやすく、細菌が繁殖することで口臭の原因となります。特に、インプラントと歯茎の境目は汚れが溜まりやすいので注意が必要です。
インプラントのネジの緩みによる口臭
インプラントは、歯茎の中に埋め込まれたインプラント体と、その上部に装着されるアバットメントやクラウンで構成されています。これらの部品を繋ぐネジが緩むと、隙間に食べかすや細菌が溜まり、口臭の原因になります。定期的な歯科健診でネジの緩みをチェックすることが大切です。
インプラント周囲炎が原因の口臭
インプラント周囲炎は、インプラントを支える骨や歯茎に炎症が起こる病気です。歯周病と同じように、細菌が原因で発症します。インプラント周囲炎が進行すると、インプラント周りの歯茎から膿が出たり、強い口臭が発生したりします。
以上がインプラントが原因で口臭が発生する主な原因です。次の章では、自分の口臭をチェックする方法についてお伝えします。
自分の口臭をチェックする方法
自分の口臭は、自分では気づきにくいものです。しかし、以下のような方法で、自分の口臭をチェックすることができます。
コップや袋を使って口臭を確認する
自分の口臭を確認する最も簡単な方法は、コップや袋を使う方法です。まず、口を軽くゆすいだ後、コップに息を吹きかけます。そして、コップに溜まった息の臭いを嗅ぎます。また、紙袋に息を吹き込んでから、袋の中の臭いを嗅ぐ方法もあります。
デンタルフロスのにおいを嗅ぐ
デンタルフロスを使って歯と歯の間を掃除した後、使用したデンタルフロスのにおいを嗅ぐことで、口臭をチェックすることができます。歯と歯の間は汚れが溜まりやすく、口臭の原因になりやすいので、デンタルフロスのにおいをチェックすることは有効です。
口臭測定器を使って確認する
歯科医院などで、専用の口臭測定器を使って口臭をチェックすることができます。口臭測定器は、口臭の原因となる硫化水素などの濃度を測定し、数値化してくれます。自分では気づきにくい口臭も、客観的に評価することができます。
口臭が気になる方は、これらの方法で定期的に自分の口臭をチェックしてみましょう。次の章では、インプラントが原因の口臭の対策方法についてお伝えします。
インプラントが原因の口臭の対策
インプラントが原因で口臭が発生している場合、以下のような対策を行うことが大切です。
正しい方法でインプラントをケアする
インプラントを長持ちさせ、口臭を防ぐためには、正しいケア方法を習慣づけることが重要です。
ブラッシングの方法を見直す
インプラントは天然の歯と比べて、歯ブラシが届きにくい部分があります。歯ブラシの毛先を小さく動かしながら、インプラントの周りを丁寧に磨くことを心がけましょう。また、歯ブラシの毛の硬さは普通かやわらかめのものを選ぶのがおすすめです。
デンタルフロスや歯間ブラシを使用する
歯ブラシだけでは取りきれない歯と歯の間の汚れを取り除くために、デンタルフロスや歯間ブラシを使用しましょう。インプラントの形状に合わせて、使いやすいものを選ぶことが大切です。
定期的な歯科健診とメンテナンスを受ける
インプラントを長持ちさせるためには、定期的な歯科健診とメンテナンスが欠かせません。3ヶ月から半年に1回程度は、かかりつけの歯科医院で健診を受けましょう。その際、インプラントの周りの歯ぐきの状態や、ネジの緩みなどをチェックしてもらいます。また、歯科衛生士による専門的な清掃(クリーニング)を受けることで、自分では取り除きにくい汚れを落とすことができます。
インプラント周囲炎の治療を行う
インプラント周囲炎が原因で口臭が発生している場合は、早期の治療が大切です。歯科医院で、インプラント周囲の歯石除去や、歯茎の炎症を抑える薬の投与などの治療を受けます。重度のインプラント周囲炎の場合は、外科的な治療が必要になることもあります。
次の章では、インプラント以外の口臭の原因についてお伝えします。
インプラント以外の口臭の原因
インプラントが原因ではない口臭もあります。主な原因は以下の通りです。
舌苔(ぜったい)による口臭
舌苔とは、舌の表面に溜まった汚れのことです。舌苔は、古い上皮細胞、唾液、食べかすなどが混ざってできています。舌苔が溜まると、細菌が繁殖し、口臭の原因になります。舌苔は、舌の奥から手前に向かって、舌ブラシや舌クリーナーで取り除くことができます。
虫歯が原因の口臭
虫歯ができると、虫歯の穴に食べかすが溜まり、細菌が繁殖します。虫歯が進行すると、歯の神経まで届き、強い痛みを伴います。虫歯が原因の口臭は、虫歯の治療を行うことで改善することができます。
歯周病が原因の口臭
歯周病が進行してくると、歯ブラシでは取り除くことができない汚れが着いたままになります。この状態が続くと細菌が多く繁殖するために、口臭を感じるようになります。
全身疾患が関係する口臭
糖尿病や肝臓病などの全身疾患が原因で、口臭が発生することがあります。また、胃腸の調子が悪い時も、口臭が強くなることがあります。全身疾患が原因の口臭は、原因となる病気の治療を行うことが大切です。
生理的な口臭について
起床時や空腹時には、誰でも多少の口臭があります。これは、唾液の量が減ることで、口の中が乾燥し、細菌が繁殖するためです。この生理的な口臭は、歯磨きやうがいをすることで改善することができます。
口臭の原因は様々ありますが、日頃から口の中を清潔に保つことが、口臭予防に繋がります。次の章では、インプラント手術後の口臭について詳しく説明します。
インプラント手術後の口臭について
インプラント手術を受けた後は、一時的に口臭が強くなることがあります。これは、手術の影響で口の中が不衛生になりやすいためです。
手術後の一時的な口臭の可能性
インプラント手術後は、傷口が治るまでの間、口の中を清潔に保つことが難しくなります。手術の傷口には血餅(けっぺい)と呼ばれる血液の塊ができ、そこに細菌が繁殖することで口臭が発生します。また、手術後は口の中が乾燥しやすくなるため、唾液の量が減って口臭が強くなることもあります。
ただし、この口臭は一時的なものなので、心配する必要はありません。傷口が治るにつれ、口臭は自然に改善していきます。
異常な腐敗臭がする場合の対処法
手術後しばらく経っても、異常な腐敗臭がする場合は要注意です。インプラントが感染している可能性があります。
具体的には、以下のような症状がある場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
- 強い痛みがある
- 膿が出ている
- 腫れが引かない
- 発熱がある
感染が疑われる場合は、抗生物質の投与や、場合によってはインプラントを取り除く手術が必要になることもあります。
手術後の口臭は、徐々に改善していくものですが、異常がある場合は早めに歯科医師に相談することが大切です。次の章では、インプラントに後悔しないためのポイントについてお伝えします。
インプラント治療で後悔しないために
インプラント治療は、失った歯の機能を回復させるために有効な方法ですが、後悔してしまうケースもあります。インプラント治療で後悔しないためには、以下のようなポイントを押さえておくことが大切です。
インプラント治療のメリットとデメリット
インプラント治療のメリットは、自分の歯のように噛んだり話したりできるようになることです。見た目も自然で、ブリッジのように他の歯を削る必要もありません。
一方、デメリットとしては、手術が必要なこと、治療期間が長いこと、費用が高額なことなどが挙げられます。また、定期的なメンテナンスが必要で、歯磨きなどのセルフケアも欠かせません。
他の治療法との比較
インプラント以外にも、ブリッジや入れ歯などの治療法があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
ブリッジは、両隣の歯を削って橋渡しのように人工の歯を取り付ける方法です。自然な見た目になりますが、健康な歯を削らなければならないのがデメリットです。
入れ歯は、取り外しができる人工の歯です。費用が比較的安く、手術の必要がないのがメリットですが、違和感があったり、噛む力が弱くなったりするのがデメリットです。
自分の口の状態や、ライフスタイル、予算などを考慮して、歯科医師とよく相談しながら治療法を選びましょう。後悔しないためには、事前に十分な情報を集め、納得した上で治療に臨むことが大切です。
次の章では、インプラントと口臭に関するよくある質問についてお伝えします。
インプラントと口臭に関するよくある質問
ここでは、インプラントと口臭に関して、よくある質問にお答えします。
インプラントによる口臭は治るのか?
インプラントが原因の口臭は、正しいケアと治療を行うことで改善することができます。歯磨きやデンタルフロスなどのセルフケアを丁寧に行い、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが大切です。また、インプラント周囲炎などの病気が原因の場合は、早めに治療を受けることが重要です。
インプラントの口臭を防ぐ日常的な方法は?
インプラントの口臭を防ぐには、以下のような日常的なケアが有効です。
- 歯磨きを1日2回以上、丁寧に行う
- デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間の汚れを取り除く
- 舌苔を舌ブラシや舌クリーナーで取り除く
- 口腔洗浄剤を使ってうがいをする
- 禁煙する
- 水分を十分に摂取する
これらのセルフケアを習慣づけることで、インプラントの口臭を予防することができます。
インプラントの口臭が改善しない場合は?
正しいセルフケアを行っても、インプラントの口臭が改善しない場合は、歯科医院で専門的な治療を受ける必要があります。
具体的には、以下のような治療が行われます。
- 歯石除去(スケーリング)
- 歯周ポケットの洗浄
- 抗菌薬の投与
- 外科的な治療(インプラント周囲炎が重度の場合)
口臭が長期間続く場合は、自己判断せずに、早めに歯科医院を受診しましょう。
最後に、インプラントと口臭についてのまとめをお伝えします。
まとめ:インプラントの口臭を防ぐために
この記事では、インプラントと口臭の関係について詳しく説明してきました。ここでは、重要なポイントをまとめておきます。
インプラントの口臭の原因と対策のポイント
インプラントが原因で口臭が発生する主な原因は、磨き残し、ネジの緩み、インプラント周囲炎などです。これらを予防するには、正しいセルフケアと定期的な歯科健診が大切です。歯磨きの方法を見直し、デンタルフロスや歯間ブラシを使って隙間の汚れを取り除きましょう。また、異常な口臭がある場合は、早めに歯科医院を受診することが重要です。
セルフケアとプロフェッショナルケアの重要性
インプラントの口臭を防ぐには、日頃のセルフケアと、定期的なプロフェッショナルケアの両方が欠かせません。セルフケアでは、歯磨きや舌磨きなどを丁寧に行い、口の中を清潔に保ちます。プロフェッショナルケアでは、歯科衛生士による専門的な清掃や、歯科医師による診査・治療を受けます。自分でできるケアと、専門家によるケアを組み合わせることが、インプラントの口臭予防に繋がります。
口臭が気になる場合は歯科医院に相談しよう
インプラントの口臭は、自分では気づきにくいものです。定期的に口臭チェックを行い、気になることがあれば歯科医院に相談しましょう。歯科医師は、口臭の原因を見極め、適切な治療方法を提案してくれます。早めの対処が、口臭の改善に繋がります。
インプラントは、失った歯の機能を回復させるために有効な治療法ですが、口臭のリスクもあります。正しいケアと、歯科医師との連携を心がけることで、インプラントを長持ちさせ、口臭のない快適な生活を送りましょう。
ざいもくちょう歯科では、インプラント治療だけでなく、術後のケアやメンテナンスにも力を入れております。歯科衛生士による専門的なクリーニングや、歯科医師による定期的な健診を通して、患者様のお口の健康をトータルでサポートいたします。
もしインプラントの口臭でお悩みでしたら、ぜひ一度ざいもくちょう歯科にご相談ください。
ざいもくちょう歯科
院長 中谷寛之