親知らずの豆知識

どうして「親知らず」と呼ばれるようになったの?

親知らずは10歳前後で歯冠が形成されはじめ、18歳以降に口腔内に萌出してきます。平均寿命が40歳前後だった昔の人たちは、自分の子供の親知らずが生えてくる前に亡くなってしまってこの歯を見ることが出来ないというのが、親知らずの名前の由来だと言われています。

また、親知らずは奥歯である大臼歯の三番目であることから第三大臼歯、あるいは智歯とも呼ばれます。これは英語の wisdom tooth 、親元を離れ、物事の分別がつく年頃になってから生えてくる歯であるというのが由来だと言われています。

親知らずは何本あるもの?

親知らずは通常であれば、上下左右の4本あります。しかし、1歯以上先天性欠如している割合は30%前後あるという報告があります。これは、発生学的に退化は端の方から現れることから最後方歯である親知らずが欠如するものと考えられています。

親知らずが引き起こす症状

近年、食事内容が欧米化によって食物が柔らかく, 栄養素が濃縮された食べ易いものに変わってきています。

さらに、食料の生産性が向上し, 加工, 流通などの機構整備が進んだことによって、食生活は著しく変わってきています。そのため、顎骨の発育低下がおきています。

これにより、親知らずが真っ直ぐ口腔内に萌出することができなくなります。上の親知らずはホッペタ側に向かって生えてきたり、下の親知らずでは、斜めや横になって生えてくることが多くなります。

親知らずは一番後ろにある歯です。後ろに行く程、歯ブラシを当てるのが難しく、お手入れが充分にできなくなります。

また、斜めに生えてくると、歯と歯の間に食べかすが挟まりやすくなります。当然その部分はむし歯になりやすくなります。初期の虫歯であれば治療できる場合もありますが、むし歯が進行してしまうと、治療が難しく抜歯になることもあります。

食べかすが溜まるとその部分に細菌が繁殖し、その状態が長く続くと親知らずの周囲の歯肉に炎症が起こります。これが智歯周囲炎と呼ばれる症状です。特に下顎に多く、症状は周囲歯肉の腫れ、痛み、発熱、開口障害、嚥下障害等です。重傷化すると敗血症へ移行する場合もあります。

女性の場合、妊娠時のつわりによる口腔衛生不良やホルモンバランスの変化により智歯周囲炎が引き起こされる可能性があります。

親知らずの治療は簡単にできる?

仮に、矯正治療を行った場合、親知らずが斜めに生えることで歯列に対して力がかかり、綺麗にそろえられたのを乱してしまう危険性があります。

ラグビーなどのコンタクトスポーツや空手などの格闘技では、下顎角部をぶつけた場合、親知らずを支点として骨折する恐れがあります。

親知らずの抜歯は簡単にできる?

上の親知らずは比較的真っ直ぐ生えているものが多く、難易度は高くありません。下の場合は斜めや横になっていることが多く、完全に埋伏している親知らずもあります。

この場合は、歯肉の切開や、親知らずの分割が必要になります。そのため、通常の抜歯よりも時間がかかりますし、抜歯後に腫脹、疼痛等の不快症状が個人差はありますが、発生します。

親知らずは移植できる?

奥歯がむし歯等で抜かなければならない状態になったとき、親知らずを移植し、抜いた歯の代わりとして使用します。これにより通常であれば、抜いた後の処置でブリッジをするために隣の歯を削らずに治療できる場合もあります。

親知らずは必ずしも不快症状を引き起こすわけではありません。何の症状も起こさずに一生を終えることもあります。抜かないでおけば何かの時に役立つこともあります。

しかし、むし歯になったり、炎症症状を起こすことがあります。

炎症症状は落ち着いてもまた繰り返す可能性が高いため、抜歯を選択することが多くなります。

いずれにしろ、現在の自分の親知らずの状態を確認するためにも一度ご相談をお勧めします。